これから労災保険の特別加入をお考えの一人親方様にとって、加入前に悩まれるのは給付基礎日額についてどう考えたらよいかという問題と、一人親方として労災保険の特別加入ができるかできないかという問題、そしていざ特別加入しようと決めた後に「どこの団体で労災保険に入るのが安心なのか?」という問題ではないでしょうか。
以下では、どの団体で労災保険の特別加入を行うべきかお悩みの一人親方様に対して、団体の選び方のポイントをご説明いたします。
団体入会前の安心
まず第一に確認したいのが、入会や相談でその団体に電話したとき、スタッフの対応や知識、レスポンスに安心感を抱けるかどうかです。
団体によっては、受付のためだけに雇われた女性スタッフ等が電話に出て、一人親方様が労災保険の質問をしても、わかり易く説明できないことも多いようです。
もし疑問点について適格・明確に回答をしてくれる団体であれば、労災保険特別加入後、万が一の際にも安心です。
レスポンスの良い団体であれば、加入手続きが終わると1時間以内に労働保険番号を知らせてくれたり、会員証は翌日に到着するようにしてくれます。またレスポンスの良い団体であるほど、万が一の際、保険適用の手続きも迅速に行ってくれる可能性が高いです。
ウェブサイトで団体の情報公開がなされているか
派手な色やデザインで、一人親方様に対して「入会はこちら!」ばかり煽っている団体のウェブサイトは、キャンペーン等だけに目を奪われず、しっかりと団体の運営者や事務所の所在地、行政庁の承認日などが記載されているか確認してください。
団体の情報も含めて、労災保険に対する正確な情報を発信していて、かつ、その地域に密着している「顔の見える」団体を選ぶと安心です。
厚生労働省や都道府県の労働局に承認された団体であるか
労災保険の特別加入手続きができるのは、都道府県労働局より「承認」された団体です。
「厚生労働大臣承認」は誤りとなります。また「認可」ではありません。例えば「東京労働局承認」これは正しい団体となりますので、まずは行政の承認があるかを確認してみてください。
そして、行政庁に承認された団体であり、かつ、その承認日から現在まで何年も活動を継続している団体であればなお安心です。
独立した団体であり、宗教団体や政治団体と無関係であること
ウェブ上でホームページから労災保険の特別加入団体に入会するときは、その団体が独立した団体であり、宗教団体や政治団体と無関係であることをしっかり確認しておかないと、あとで思いも寄らない面倒が生じてしまうこともあります。
団体の中には、毎月決められた日にお金を持っていかなければならなかったり、カンパを求められたり、選挙の応援など強制活動に駆り出されるなど、本業の建設業以外の手間が多く発生してしまうところもあるようです。
労災保険に加入したかっただけなのに、宗教活動や政治活動に携わらなければならなくなっては、本業のお忙しい一人親方様にとってはたまったものではありませんよね。
入会の際、保険料の支払い方法が複数用意されているか
「急ぎの入会にも対応!」ばかり謳っていて、年払いや毎月払い、銀行振込やクレジットカードによる分割払いなど、一人親方様の状況に応じた様々な保険料の支払い方法が用意されていない団体では、本当の意味での「急ぎ入会」ができない可能性があります。
ただ値段の安さだけや、短期間での入会手続きを売りにしている団体も要注意です。
極端な安売りに走ってしまう団体は、入会後の会員に対するサービスの低下に繋がりかねず、いざというときを含めてできることは限られてしまいます。
「労災保険に加入したのに、いざというときなかなか対応してくれず大変な目に遭った」では、何のために保険料を支払っていたのか意味が分からなくなってしまいます。
どの現場でも安心して加入員証を提示できること
宗教団体や政治団体と無関係の団体であることが安心要素の1つであるとご案内しましたが、もう1つ、安心して労災保険に加入するための大きな要素があります。
それは、ゼネコンやハウスメーカーとの関係が無い団体であることです。
ゼネコン・ハウスメーカーと強い関係のある団体で労災保険の特別加入を行ってしまうと、現場によっては加入員証を提示しにくかったり、万が一の際に労災保険を心理的にも使いにくい可能性が大きくなります。
どこの現場でも堂々と会員証を掲示できること、万が一の場合に労災保険をしっかり適用できることを推奨してくれる、独立した団体を選ぶと安心です。
万が一のとき、実際に団体の事務所で相談ができるか
以上は団体に加入する際の安心要素でしたが、労災保険についてはもうひとつ、いざというときに安心できる団体であるかという要素も検討が欠かせません。
全国展開し、ウェブで幅広く通販型労災保険を売りにしている団体に加入してしまうと、遠方に窓口があり、対面で直接相談することができません。
ホームページでは都会の真ん中に事務所があるように謳っていても、実はただのレンタルオフィスで、電話しても地方都市のオペレーターが対応するだけの団体も残念ながら多いようです。
実際、このような団体では入会の前後を問わず事務所で直に相談することができず、いざというときのために加入する労災保険にとって致命的な問題になりかねません。
特にフリーダイヤルで加入できる団体は、所在地が遠方であることに気付きにくくなります(気づかせにくくする意図が垣間見える場合もあります)から、入会の際はより注意して団体の情報を確認するようにしてください。
結局は、一人親方様が日々業務を行う地域を中心に、地元に密着して活動する団体が一番安心と言えるでしょう。
労災発生時の対応にプロがしっかり対応できる団体を
最後に、これは有事の際の安心材料ということになりますが、労災が発生してしまったとき、対応が迅速かつ適切であるかという点も、団体を選ぶ上では重要です。
もっともこの点は、実際に労災事故が起こるまでは、なかなか団体によっての違いが見えにくい部分なので、入会の段階で確認することは難しい面もあります。
しかし、労災事故発生時の対応は団体にとって重要な仕事です。すぐに書類を作成して郵送してくれるところでないと困ってしまいます。
事務所が実際には存在しない団体や、安さだけを売りにしている団体に、このような事後処理サービスは期待できません。「顔」の見える、その地域の団体を絶対に選びましょう。
そのためには、繰り返しになってしまいますが電話で相談したときの対応の早さや内容の的確さ、その場ですぐ質問に回答してくれて疑問が解消されること、そして困ったときに直接事務所で相談できること、これらの要素は労災保険の特別加入団体を選ぶ上でしっかり押さえておきたい点になります。