労災保険への加入でお悩みでしょうか。一人親方様が労災保険に加入するためには、労災保険の特別加入の制度を活用することになります。
労働者災害補償保険法は、以下のような目的のもとに、労働基準法の定める使用者の無過失責任を、国が運営する保険制度として給付することとしています。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその家族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与すること |
一人親方は事業主のため、原則として労災保険に加入できない
ところで、労災保険給付の対象者は「労働者」です。つまり事業主である一人親方様は、原則として労災保険に加入することはできないことになります。
しかし労働基準法の「労働者」でなくても、実態として労働者と同様の業務に従事している方については、労災保険に特別に加入する制度があります。
これは労災保険への強制加入ではなく、任意加入です。これを一般的に「労災保険の特別加入」と呼びます。
労災保険に特別加入できる「一人親方」とは
労災保険への任意加入である特別加入における「一人親方」とは、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする者、およびその事業に従事する者であっても労働者でない者をいいます。
建設業において、より具体的に当てはめると、次のような方が「一人親方」と定義されることになります。
- 一人で建設業を営んでいる方
- 家族だけで建設業を営み、現場に出られる方全員
- 労働者を使っていない有限会社、株式会社の取締役で現場に出られる方全員
- 建設業を営みアルバイトを年間100日未満しか使わない経営者
かっては、健康保険に加入している事業主が業務中に被災した場合は、労災保険からも健康保険からも給付されませんでした。
しかしこの矛盾を解消すべく、平成25年10月から健康保険に加入している事業主が業務上負傷した場合など、労災保険かが支給されない場合には、健康保険がから給付されることになりました。
一人親方が労災保険に加入するためには?
一人親方の労災保険に加入する為には、都道府県労働局の承認を受けた特別加入団体を通じて加入しなければならず、労働基準監督署など行政の窓口では加入手続きはできません。
この特別加入団体を通じて加入する際は、給付基礎日額(労災事故の際休業した時の補償の計算基礎となる金額)を3500円から25.000円まで選んで加入できます。
また粉塵作業、振動工具の使用や鉛業務、有機溶剤業務などが一定期間以上従事した経験のある人は加入時健康診断(無料)を受けてから加入が認められることになります。
なお、それらに従事した経験のない人であれば健康診断は必要ありません。
休業時の補償は?
労災に遭って休業した時の補償は、1日当たり給付基礎日額の8割となります。
加入している一人親方の方に災害が発生して労災保険の請求があった時、「労働者」であるかの調査はしません。速やかに給付が行われます。
ただし、当然といえば当然ですが、一人親方の大工として特別加入していた人が、別に行っていた中古車販売の事業で被災した場合などはこの給付は行われません。
給付を受けた金額は非課税となります。また、労災保険料、特別加入団体に支払った入会金、会費は総て経費となる税法上の特典があります。
建設現場へのパスポート
昨今では、万が一の労災事故に備えてという意味とともに、加入していることを証明する会員カードが建設現場で働くためのパスポート的な役割を果たすようになっているため、その意味でも労災保険への加入を検討される一人親方様も増えています。
当団体では、加入手続きから事故の処理まで迅速に対応しております。もし分からないことがございましたら、お気軽にお電話・メールでご相談ください。